──おふたりはどのようなきっかけで今日香、明日香で働くようになったのでしょうか?
平野 私は以前、介護老人保健施設で働いていました。大きな施設で利用者さまも大勢いたので、認知症の方は後回しにされたり、流れ作業的な仕事が多かったりと、どこか違和感を持っていました。明日香を見学したとき、利用者さまとスタッフが本当の家族みたいな距離感で過ごされていて、ここで働きたいなと思ったのがきっかけです。
渥美 以前は違う職種で働いていましたが、介護の仕事をしている親族の紹介で働きはじめました。最初は分からないことばかりでしたが、すぐに介護の仕事が楽しくなり、気付いたら13年も働いています(笑)。認知症の家族がいて困っている友人の相談に乗ったり、アドバイスしたりできるのは、この仕事を続けてきたからだと思います。
あとは有休をもう少し取れるようになったらうれしいですね
──働く環境という点ではいかがですか?
平野 お互い様の精神で、スタッフ間で融通をきかせているので休みは取れています。あとは有休をもう少し取れるようになったらうれしいですね。今でも取れていますが、もっとしっかり取れるようにしたいな、と(笑)。忙し過ぎるとどうしてもピリピリしてしまいますから。気持ちにゆとりがあると、利用者さまにより優しく接することができ、満足度もより上がるはずです。
渥美 僕たちにストレスたまっていると、それを感じ取ってしまうのが認知症の方だと思うんですよね。私生活でしっかりリフレッシュして仕事に臨める環境をつくっていくのも、僕たちの大事な仕事だと思います。
──体力的にも大変な仕事かと思いますが、やりがいというか、魅力は何でしょうか?
平野 癒されると言うか、もらえるものが多い気がします。プライベートで嫌なことがあると、「あんた元気がないね、どうしたの」って、優しい言葉をかけてくれるんです。
渥美 みなさん、包容力がありますよね(笑)
平野 甘えさせてくれるという訳ではないんですけど。あと、幾つになってもかわいいねって言ってくれる(笑)
──素敵な関係性ができてらっしゃるんだなと感じました。今後、したいことはありますか?
平野 グループホームは、地域の方々に対し、認知症について相談できる場所として位置づけられているんですね。大きな夢を言っちゃえば、認知症カフェみたいなものをしたいなと思っています。広いお庭もあるので、自由に出入りできるドッグランがあって(かつて明日香では施設で犬を飼っていたことがある)、利用者さまもそれを見て癒されるような空間。小学校が近いので、駄菓子屋をしても楽しいかもしれませんね。
渥美 コロナになる前は、スタッフが小さな子どもを連れてくると、利用者さまがすごい元気になるんですね。ですので、小さな子どもたちが集まれる場所があれば、みなさん笑顔が増えるんじゃないでしょうか。
平野 認知症の方がいるご家族や、入居の申し込みくるご家族からしたら、どこに相談したらいいか分からないというのを、よく耳にします。介護といっても施設もさまざまですし。そういった点でも、私たちが地域のお役に立てるようになりたいと思います。